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現在の経済状況が不動産の景色を変化させるかも

えー「現代日本住居デザインの固有性と今後(2)」の前に、ちょっとニュースが入ってきましたので割り込みレポートをひとつ。
分譲開発系の不動産会社がバタバタと倒産しているのは既報のとおりで、
不動産関連企業が次々と倒産している件
これが根本的に不動産における景色を変化させるかもしれません。

6日にこんなニュースがありました、
大京、一転赤字に オリックスに追加支援を要請
(一部抜粋)
マンション分譲大手の大京は5日、親会社のオリックスに追加支援を要請したと発表した。08年9月中間期に323億円の不動産評価損を計上したため、自己資本の増強が必要になった。オリックスは7日にも優先株による100億円規模の増資引き受けを発表する見通しだ。
大京は5日、09年3月期連結業績予想の純損益を95億円の黒字から、510億円の赤字に下方修正。市況の悪化で保有不動産の評価損が出たほか、繰り延べ税金資産の取り崩しや主力のマンション分譲での利益率低下が響いた。

マンション分譲を縮小し、管理や仲介事業の拡大を目指す。
(asahi.com 2008/11/06)


大手管理会社にも管理の上手いところとか仲介会社にとって仕事の進めやすいところ等様々特徴あるんですが、スケールメリットから言っても「店頭営業の無い純粋な管理会社(法令遵守含めて信頼感が高い)」と「仲介調査の会社(管理の負担も減る上に公平な調査に特化できる)」への分化は入居者にも貸主にも利益となるので(前述の他にも多数あり)、賃貸の現場から言えば好ましい事で不動産の社会性という観点からも拡大して欲しいところで、
結果として賃貸・分譲含めて選択枝が増えていく事だけでなく、
特に構造的に相場から乖離してひとり歩きする傾向のある新築分譲が抑えられる事は相場の健全性から言っても好ましい(民間建築投資に財政出動が止まった公共投資の代役を求めているところは違うのだろうけれど)。

これは中古マンション流通の促進にもなります、
(なので分譲の選択枝が減るって事無いのじゃないか?)
何故かと言うと、供給過剰の中で経済原則を無視して新築分譲を共有する事で、中古マンションは実価値を離れて相場が下落してしまって、本来売却を考えている物件も売り控えせざるを得ない状況ってあるのであって、
 ↓
日本の住宅ローンはノンリコースじゃないので流通価格が下がり過ぎると売却したとしてもローン残額が残ってしまい売り控えたくなくても売り控えざるを得なくなったりする→金融機関と違って個人の世帯が”不良債権損切り”みたいに動くなんて事は最初からできないのだから、皮肉な話で供給過剰な状況を助長する形で新築分譲を供給すればするほど新築分譲を売りやすい(内容のいい中古物件の流通が止まる)→何時かは破綻するのが見え見えのバブル型開発って土壌があるので、少なくともこの歪んだ形の開発には誰かがブレーキかけなくちゃいけなかった。

思い出して欲しいのは、バブルが始まった当時の宮沢政権において当時の首相宮沢喜一は「サラリーマンが無理なく住宅を購入できるように3000万程度の・・・」であった筈なんだけれど(おおよそ15年ローンで返済完了)、すっかり分譲マンションと言えば5000万ぐらい「普通ですが」な状況になってしまった。
ローンにおける金銭感覚の麻痺はデフレ以降のゼロ金利政策(デフレなので額面的金利所得は縮小して見えるんだけれど実金利は高いのと同じ)に負う部分が大きい、一見低金利なのでお得なローンに見えてしまうんだけれど(ここは実金利が高いのと同様に低金利でも実金利は高いことになる)、「好景気によるインフレ傾向が無い=将来の所得の増加も見込めない」も含んで考えれば、現在の状況は宮沢氏が描いた「サラリーマンが無理なく住宅を購入」って世界とは全く別物になっている。

若干ニュアンスは違うんだけれど、分譲一戸建てにもこういった開発優先の歪みはあって、利益から考えれば開発会社は「是非とも建売住宅で売りたい」。市場を操作してこれを誘導するのは意外と簡単で、売り地が供給されたら即座に買い占めてしまえば、消費者が更地を購入する事は最初から不可能になるので、「建売を買うしか無い」事になる。特に一戸建て系の場合東京なんかでは、公道に面していない再建築不可な土地や旧法借地権設定の入り組んだ地域も多いので”売却したい土地はあっても流通しにくい状況”が元々あるので、開発会社と銀行が連携すれば市場を操作するのは可能になってしまう、
しかも、借地権や再建築不可の不動産の場合担保価値的評価が低く銀行がローンを引き受けなかったり→ここも中古マンションと似て流通すべき不動産の流通を抑える事で新築建売を売りやすくなる→銀行はより高額の住宅ローンの契約が取れる的世界となる。

このなんだかな〜な状況に、対抗する最も簡単な方法は「賃貸の方がクレバー」って選択。
それは分譲にける環境が同時に正常化する事も期待されるけれど、この間高額な新築分譲を購入した世帯にとっては”現住居の暴落”でしかないので、なんともこの辺は別の意味で急激な動きは無い方が好ましい→新築分譲が止まるところで十分でしょう→その間賃貸等のリノベーションによって各個人の占有面積が拡大して=物件供給戸数の供給過剰が幾分でも調整されればこの間新築分譲を購入した層の暴落ショックは少ない。

なのでー
開発会社が「マンション分譲を縮小し、管理や仲介事業の拡大を目指す」というニュースには好ましい一面があるんです(説明長いから、、)。

現在の賃貸住居は居住性能が均一且高性能な反面、自由度の点で若干工夫が欲しいところもあるので(ペット可住居等もまだまだ少ない)、特に東京なんかの場合今以上に「賃貸に暮すのがクレバーな選択でしょう」が意識的に強くなってくれば、多様化のニーズも高まるのであって、選択枝という付加価値が賃貸の世界に拡大する結果に結びつく事を期待したい。


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