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(2010/08/14)

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不動産の世界から食の安全を考えてみる

こんなニュースが飛び交っているのをみなさんご存知ですか

穀物マネー狂乱 家計を直撃(■「高くても日本が買う」)
春小麦などの穀物が高騰している。新興国の需要増とバイオ燃料ブームに加え、大量の投機マネーが価格を押し上げる。日本ではこの春、食品の値上げラッシュだが、こうした傾向は当面続きそうだ。
■「高くても日本が買う」
世界の穀物価格を主導する米国の商品取引所。春小麦市場は中華めんなどの材料になり日本の需要が高いが、、品不足の中、1月末から11営業日連続で値幅制限の上限へ値上がりする「ストップ高」になり、「狂乱相場だ」と関係者を驚かせた。「いくら高くても日本が買う」とのうわさも飛び交い、2月25日には1ブッシェルあたり25ドルと、例年の5倍に達した。
(2008/03/20 asahi.com)


民主党の政策の中で「バラまき」との批判も多い中地方で根強く好評なのが農家への直接所得保証政策です、しかしこれだけでは農業後継者不足の解消までには繋がらない。
「農地を耕作地として守る」ところまででしょう。
例の『餃子事件』以来、食の自給率向上に関してここ経済的にも重要度が急激に高まり始めているところです(安全保障に関わるとこまできているかもしれない)。そこに現在ガソリン高騰時と同じ構造で穀物相場まで高騰している。

それじゃ「ベンチャー企業が地域農家と連携しつつオランダみたいに先進的な農業へ投資」と、こう考えても不思議じゃないですよね、
ところがとうはいかんのです。
不動産で言うところの農地の取引には『農地法』というのがありまして、

農地法第3条
農地を農地として売買、貸し借りを行う場合、所謂「3条許可」が必要。
譲受人(借主)は申請地を含めて農業委員会が定める下限面積(原則50アール)以上耕作している農家もしくは農業生産法人でなければなりません。また、農機具等耕作に必要な機具をそろえていること、申請地と居住場所がそれほど離れておらず(1時間程度)、通常の営農管理が可能であることが前提条件となる。

簡単に言うと「近所で営農している人しか買えない」のです。
(他にも「農業委員会」「都道府県知事」「農林水産大臣」等様々なところの許可が必要)
そして農地法には他にも重要な項目があって
農地法第4条
自分の農地を宅地等の農地以外に転用する場合、農地法第4条に基づく転用許可が必要。
その農地の位置(住宅地域近隣等)や「土地造成のみではないこと」「計画実現の確実性があること」「適正な面積であること」等の基準がある。例えば一般住宅は原則500平方メートル以内で且つ必要な最小面積(農家住宅の場合、1000平方メートル以内で且つ必要な最小面積)。

他人の農地を取得したり、借りて農地を農地以外の地目にする場合は、農地法5条の許可が必要(転用の基準は、農地法4条と同じ)。
※知事の許可等が関係するので各地方公共団体のサイトなんかに申請に関する説明があったりします。

収益悪化している農地が突然建売住宅の供給地になる理由がわかっていただけるでしょうか(そもそもこういった転用は農業経営基盤強化促進法等でも後押しされている部分となる)。そしてこの離農→建売住宅の流れが地方特有の都市部の過疎化(商店街の壊滅と新しく整備された幹線道路沿いへの郊外型の大規模量販店の進出→なんとなく地方が荒廃していく様子)等様々な問題に繋がっているのです。
ある意味、地方の農地が開発業者の建売販売のための草刈場になっている状況は、これ確かなんだと(結果的に市街地の不動産下落により地域全体の資産価値も下落→市街化調整区域内であったにしても開発地域は郊外に伸びるため、余計に車利用が促進され市街地から人の流れが幹線道路に向かう)、

な背景事情がわかっている地方にとって「農家への直接所得保証政策」は決してバラまきとは言えないワケです。
現在の状況から見ると、この開発に傾斜がかかっている農地法の改正に手を付けないといかんでしょう。食料自給率や国産農産物へのニーズが高まっている時に方や農業が後継者問題に悩んでいる状況は、少子化以上の問題ですよ。

※こういう関連性は東京都心部にもあって、新宿方面で進むタワービルの乱立が中野・練馬区方面の気象に影響を与えていて、水害の発生率が上昇しているなんて話もあります(これ当然災害発生率が高まれば資産価値は下落する)。ここに後追いで税金投入による水害防止の公共工事とこうなるのです。(タワーと気象の関係は仮説レベルの話で実証されているものではありません)

話は農地に戻りますが、
それこそ都市部の企業や資産家がノーブレス・オブリージュ(高貴な者の義務)として、周辺農家の所得を圧迫しない形(直接所得保証があれば心配無い)で、再三度外視の農地を保有し食料自給率の上昇に民間レベルで”投資”する的な世界があってもいいんであって(市民農場大スケール版)、何も地方の村おこしが分譲開発や工業系の事業誘致に偏る必要等無いのじゃないか。「都市部には都市部の」「地方には地方の」的なキャラクターの違いがあるのが自然なのだし(前回のエントリーの「郊外には郊外の低層系の開発」みたいな)、それを促進出来る状況に法整備がおっつかないというのは、政治的な怠慢であると言えるんじゃないでしょうか。農業・耕作地を守る事は国民の生命に関わる話なんですし、

それこそ世代的には日本のスーパーパワーとも呼ばれる『団塊世代』の方々なんかには、退職後に農業に興味持っている人も多数いるなんて話も聞きます。
しかし、退職後に「専業農家的なスケールじゃないと農地も買えない」なハードルはあまりにもリスク高いでしょう。
新規ベンチャーの社員として、会社の農地で仕事をし、自宅近くにはちょっとスケールの小さい自分の農地もある的な生活が選べる状況があれば、団塊世代だけでなく若い人にも魅力的な選択肢となるのじゃないでしょうか。こういう部分こそデフレ時代に生まれた「必ずしも所得だけで豊かさを判断しない」価値意識ともマッチングがいい、


現在の不動産開発の構造が、そンなダイナミズムの足を引っ張っているだけでなく”安易な宅地開発”に流れているのはいかにも近視眼的というか(昨今の東京で需給バランスも無視してじゃんじゃん分譲マンションを供給して”ドン”と落っこちているのと同じ) 、確かに『ノーブレス・オブリージュ』に欠けている。
ノーブルって言ったって、現在はみなさんマジに貴族を意味する筈もなく、それを「勝ち組み負け組み幻想」と勘違いしてもいけません。
現代社会で言うところのノーブルとは専門家や専門職として前線にいる人の社会的責任みたいな話で(ライブドア事件の時に流行した”コンプライアンスより優先順位上でしょう)、そこで近視眼的な短期的利益に走る事を(供給過剰がわかっていて売り抜けていたら購入者に”意識的にババ抜かせた”のと同じ)会社として止める力がないってのは、戦前の官僚組織となんら違いがない。

今、政治は例のねじれで「議会では何も決められない事によって結果として官僚のレールを外す」なる裏技使ってますが(意図しているのか”なっちゃっている”のかは別として)、まー妙に丸め込まれるよりよっぽどマシじゃないかと。
突っぱねている民主は政局狙いかもしれないけれどもそれに付き合って、安易に衆議院3分の2に持ち込んだりもしない(できないだけかもですが)自民もなかなか立派なもんですよ。
■「これってどうよ」な形になっているのは事実、
「日本は日銀総裁等不在でも誰一人困りませんが何か」みたいな(笑

遅ればせながら「政治の世界にもようやく『デフレ』の波が押し寄せている」って感じもしますが、この農地法の問題(そもそもは資本家から農家を保護するもの:地主制度の復活を阻止するため→「自作農主義」:結果的にこれが農家1戸辺りの耕作面積の狭さに繋がっているとの説もある)等、なんとかならないものでしょうか。
宅地等への転用制限は(所得保証とセットの形で)『むしろ強化』して、耕作目的での権利移動の許可を『開放』する方がいんじゃないか、
都市部の開発で言えば、郊外の「低層指定」はより厳しくすべきで(郊外は土地の資産価値の安定感に欠ける分、分譲マンションでも低層化による総戸数の低下→土地面積支配率を上げて資産保全力を上げる方が好ましいでしょう)、都心部でも環境税的な意味の”タワー税”とかあってもいいかもです。


それこそ、食料の国内自給率が問題視されている中、地方に「必ずしも資産価値としてどうか?」な不動産開発が進んでいる現状はダイレクトに食の安全にも関わってくるのだし(タワーが都心部の環境に影響を与えるように)、不動産の世界は”その部屋の内容”だけでなく社会的な選択にも大きく関わっているのです。
「どんなライフスタイルを希望しているのか」って、その世帯単体の話だけでなくもっと大きなフレームの『暮らし』に多大な影響を与えるのは間違い無いでしょう。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

安心で選ぶなら

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コメント

私の地元でも都会から引っ越してきて、農業を始めた方がいます(^-^)でも農業以前に不便な田舎暮らしに耐えられる人って少なくないですか?(・・;)あと違う話になるんですが、最近私の周りを見ると、近くの農業会社に田植えや刈り取りを依頼してる農家も見掛けます。それだと金銭面での負担はどうなんでしょうか?農地法の改善以外にも、農家が金銭面や肉体面での負担が減るなら、農地を手放すことも防げるんじゃないかなと単純な考えもしてしまうんですが、そんな簡単じゃないですよね。。?ブログの話からそれちゃってます?(・・;)

それがですね、某区の市民農園など順番待ちなぐらいの人気だったりするんです。そしてここデジタルデバイド関係の話にも書いたんですがインターネットのヘビーユーザは都会に多くて、そんな人にとって利便性って”ブロードバンドの整備”って事になりますから地域の建築構造インフラに必ずしも依存しないんですよ。意外と多いはずですよ「都会にウンザリ潜在需要」そして金銭面というのは文中にありますとおり『民主の農業直接所得保証』が機能すれば全く心配ありませんし、農業の今後を考えるとこの記事にも書きましたが ↓http://blog.smatch.jp/kagewari/archive/138商社等で営業実務の経験があるとか、プレゼンテーション含めて新しい業態の開発だとか、今日本の農業に最も不足しているのは”農業実務以外のスキルのあるマンパワー”なんですよ。世界の人口の4割を超える中国・インドが高度成長している現在(アメリカ中西部の地下水も早晩枯渇の噂もあります)、食料生産が「中東オイル」以上の戦略上の要点になる時代は「もうすぐ近くまできている」と言ってもいいんです。今民間資本が事実上”生産者として参加できない”のはエライ問題で、当然ここには官僚特有の非効率が関係している。現在の生産者にとっても現状「手足を縛ってなんとかしろ」と言っているようなもので、ここは国レベルの問題だと思いますよ、ホント。

とにかく、自給自足の拡大のビジョンを持つことが重要性です。岩原さんの記事には、いつも説得力があります。退職者を組織化して営農させる仕組みをNPOの誰かがモデル化しそれを、政府や企業が支援するのが良いと思います。1つの方法でなく、複数で実験し、上手く行くやつが生き残る。そこに、住という不動産もキーワードになるでしょうね。

塾長さんどうもですっ私は民主の手先じゃないですが(笑北海道における民主の支持率の高さなんかの背景考えると、農業って部分へのあの政策的なアプローチは確かにアタリだったんですよね。ここを見逃す訳にいかないし、そして、例の道路特定財源の話もそうだけれど、官僚主導による非効率ってまだ道路ならまだ耐えられても(それも問題ですが)、独立事業主で非常に零細な形で経営している(それこそ「社長は僕で私が副社長終わり」みたいな世界なんですし)”経営者”をお上がミスリードしてたら、一体何のための「自作農主義」なのか本末転倒になってしまいます。職業として興味のある人は潜在的に沢山いるのですから労働吸収力含めてここを活性化させる事は各地方の財政の面からも必要な筈で、その生産の場として農地が地元の賛成を得る形で流動性を確保すればまだまだ将来性のある魅力ある業態だと思うんですよね、農業。以前ネット関係の仕事を『虚業』だの抜かした経済人もいますが(じゃ銀行はどうなんだと、)もの造りの基本は経済界じゃなくて、これ農業でしょう。そして今ここの部分が日本の安全保障にも関わる一大事にもなりかねないんですから、こういう問題って早急に改革される事を期待したいです。

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