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(2010/08/14)

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『築浅信仰』(前編)

問い合わせにも「アパート希望」と「マンション希望」があります。
実際築浅を意識するのはこの場合後者で、アパート希望で築浅希望を条件にする例はほとんど無いか非常に少ない(調査中に偶然新築アパートの入居キャンペーンがあって歓迎される事はありますが、それも特別優先順位を確定する要素にはならない)。
しかし固定資産税の評価から見ても(あくまでスペックとしてですよ)、耐用年数を見れば明らかに木造住宅であるアパートの方が耐用年数は短い。
駆体の経年変化を気にしているのだとすれば、当然ここは「アパート希望の人が優位に築浅を希望している」のなら(木造建築の実際の耐用年数論議は別として)少なくとも論議に整合性がありますね。

しかし現実はそうなっていないのです。
耐震性や防火性能という側面で言えば、関東大震災・東京大空襲の事例を見れば明らかなように非木造建築は強い。マンション希望の人には築年数と建築基準法の見直し年次を関連させる事例も時折ありますが(確かに論議としては整合性がある)、ここは以前のエントリーにおけるDATAで明らかなようにRCであるとか構造上の選択で考えるべきで、一律に築年数との関連は無い(DATAから関連付けるとすれば1971年以前の建築となり築浅論議とは掛け離れた年次になる)。
参考DATA:http://kagewari.blog.smatch.jp/blog/2008/01/post-7375.html

ここにも不思議な現象があって、地震による家屋の倒壊等といえばとんでもない大災害となりますが一般に非木造の耐震性の話は『資産価値の保全』であって、分譲オーナーが外壁の亀裂や共有部分の被害、インフラの破損を心配する部分で(上記参考DATA参照:倒壊は少数の事例、むしろ心配なのは小破を含む修繕の必要となる損害の想定)、賃貸の部屋を探している人が心配する話じゃありません、ここはオーナー(家主)が心配する部分になります(入居契約時の火災保険の加入で地震保険付のオプションを希望する人は10%も存在しない:そのまま加入しないのが契約時のデフォルトになっているぐらい)、
ところが賃貸においても「耐震性が心配なのでS57以前のマンションは候補外です」なる条件を希望する問い合わせはそれなりに多い(しかし火災保険は地震保険付にはしない)。

事故や被害の頻度と言えば、100年に一度あるかないかの大地震より”火災”の方が数倍被害に遭遇する可能性は高いですね。
しかし仲介営業をしていて、おおよそ『火災が心配なのでオール電化の部屋を希望します』と聞いたことがありません。
「ガスキッチン2口希望」は”非常に多いのに”。
むしろこの点は家主さんが心配する部分で(入居者以上に心配)、全面リフォーム時に「オール電化にしようかしら」等、全然珍しい論議じゃないのです。ところが不思議とオール電化は部屋探しの希望条件として「一般的じゃ無い」、

つまり「築浅マンション希望(おそらく希望しているのは築5年以内ぐらいを想定→建築的には築20年以内であれば十分築浅だけれども築浅希望の問い合わせにはこれが適合しない)」という問い合わせそのものが、心理的なもので具体的根拠に欠けているケースが(希望する理由として)とても多いのです。それぐらい様々の「築浅を希望条件にする事を答えとして導くためとしか言えないロジック」が流布しているし、まことしやかに「そうよね〜」等と巷でも語られています。

このブログのカテゴリー『東京建築日和”Teorema”』でも明らかなように、むしろ都心部等になると築年数の古いものの方が文化的にも実質上も価値の高いものが多く(東京・神奈川・埼玉・千葉における関東近県で築30年以上のマンションの7割は東京に集中している。これは、それだけ開発の歴史含めて”東京が資産価値的にも豊か”な証明)、
東京において賃貸マンションの選択肢を考える場合、特に”山手線内側の築年数の古いもの”をその範囲に加えるか加えないかで調査母数は段違いになる。
しかもその築年数の古いマンションの方が内容もいい場合が多く(分譲キラー的企画性のあるもの以外は、築年数を指定しない部屋探しの方が結果として内容が上のケースが大半だと言ってもいい。設備的な内容は築年数に関係無く絞り込めるのだし)今後の動向から見ても「5年後に築30年以上は棟数でほぼ倍増」とも言われている。

※全体の比率から見れば築20年以上のものが4割〜5割だが当然築年数の浅いものは賃料が高い・分譲開発の棟も多くなるなど基本的に「希望条件の中で賃料の安いもの」を希望する部分で考えれば築浅限定とすることで選択肢の6割から7割を切り捨てる事になる。その中でも築5年以内を希望するとなると「マンションという建築の概念から考えると異例なタイプを指定している事になる」。築100年等も珍しくない欧州に移住して「築浅希望」を言う人がおおよそ想像できない前提から考えても(この概念そのものが日本でしか通用しない特異な言語になっている)、賃貸マンションにおける「築浅希望」という言葉そのものが現代日本特有の象徴化されたキーワードである証明じゃないだろうか。
分譲マンションにおいて、修繕積み立ての金額や長期的修繕計画の有無等を評価額の要素として検討するのには実効性あると思うけれど、設備に関しての保全義務に関連のない賃貸契約の入居者(それはトラブルそのものは実際に困る事ではあるけれど修繕費用が発生するものではない)が、東京で「築浅マンションがいいわよね」ってのは、「選択肢を狭めてちょっと狭くて賃料の高いマンションがいいわね」と言っているとほとんど同義となる。
※話をわかりやすくする意味でナンセンスなぐらいに話を極端にすると、スーパーで「私はつきたてのお餅しか食べないんだが、」と店員に尋ねているような感覚。

それはイケイケ営業系不動産業者の営業なら「賃料が高い方が売上ノルマに近づく」のだから、「そうですよね〜新しい(賃料の高い)マンションの方がいいですよね〜」と営業トークも冴え渡るところだろうけれど(このタイプの営業さんは建築含めて物件知識のまったく無い人物も多く、不動産営業経験3ヵ月だったりする)、所謂大家さんから多数の物件管理を委託されている管理会社さんと僕らの世間話(内見立会いの時等によくお話する)では、管理会社の担当者の方が「ほんと”最近は”新しいものじゃないと決まらないよ」と世の中間違っている的表情で溜息ついているケースが多いし、その表情には「築浅希望のお客さんは意味不明で、物件知識についてや建築の話等正直話す気にもならない」と書いているケースが大半、
(顔をしかめて首を振りながら”取り付く島も無いよ、一体世の中どうなっちゃているんだろう”な感じ)

ここにオートロックの存在が関係する事も多く(オートロック自体が直接には防犯性能に無関係なのは再三retourやこのブログでも説明しているところ。一般にオートロックはグレードとしての設備であって、よほど管理や条件が整わないとそれこそ最近では「むしろ狙われやすい」)、余計に「どうしてそんなに賃料の高い部屋を希望する事に拘るのか」と部屋を紹介する側の方が首を傾げる事になる。
※オートロックなんかの場合、話が通らないものだから繰り返し「必ずしも防犯性能を意味しない」と説明すると、このコンサルの段階で感情を害して音信不通になる問い合わせもある、ここも同様に「この希望が実質的な内容ではなく、多聞に共同幻想に近い心理的なものである」事を証明している。


「この概念は既に信仰の教義に近い現代的”キャッチコピー”としか言えない」
そんな判断からこの現象を『築浅信仰』と呼んでいます。
しかし一体何が始まりでこの不可解な現象が始まったのか?
次回はその心理面の謎に迫ってみましょう。



『築浅信仰』(後編)
ベテラン管理会社の担当者の台詞「ほんと”最近は”新しいものじゃないと決まらないよ」
”最近は”の言葉にあるように、この現象はバブル以降に始まったと考えられる。



<つづく>
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間取り図を見る力を養え!

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コメント

只今、部屋探し中ですが、先日アットホームにて目白台アパートが7.3万で出ておりましたがタッチの差で先を越されました!南側の5階で23平米なので入りきらない荷物はトランクルーム業者利用すればまぁ問題なしでしたが・・シャトー市ヶ谷を引っ越す94年7月より引越しの度に狙ってますが空いてなかったり、九段に越した際にも後から出てきたりでタイミングが悪いようで。話が少しずれますが川口入る前に視た高輪ペアシティは建物が気に食わなかった訳ではなく部屋自体の条件が悪かったんですよ残念。

あれですよ、春に引っ越すもんじゃないですよ(笑実際選択肢があるようで実は無いのが春ですからね。とはいえ時期を選べない状況があるのも確かですが、、目白というか江戸川橋音羽方面も年内には取材しますよ〜

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