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(2010/08/14)

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米サブプライムローン破綻の影響か「都心地価、上げ止まり 海外資金急減」

いよいよミニバブルとも言われた日本の不動産市場の動向に変化が見られてきた。
そもそも日本には一種の不動産信仰のようなものがある、
資産の保全として”不動”である部分が”資産価値も不動”のような解釈があって、そもそもの土地の生産性や需給バランスを無視して昔々の金本位制じゃないが「土地担保本位制」でも呼ぶような信用貸しが金融の基本にもなってきた(不動産自体の流通速度が遅くてもこれを担保に容易に資金調達ができる)。しかし世界経済において金本位制が為替取引き市場による変動性となったように、土地の価値は”市場”できまるのであって決して普遍ではない。
ましてや区分所有の分譲マンションの場合、その価値の依存度は「上もの」の比率が高く限りなく耐久消費財に近いものと言ってもいい。
※リノベーション業者が安く仕入れた中古マンションをブランド化してその付加価値(リノベ)により好調に収益を挙げている事を見ても耐久消費財としての趣が高い事は”市場”でも証明されている。

そんな中で、東京の市場としてのバックグラウンドを検証してみれば「空家率12.2%」これは全国平均と同じ数値だ、
この環境にこんなニュースが飛び込んできた
 ↓
============================================
都心地価、上げ止まり 海外資金急減/30地点伸び0%

高騰を続けてきた都心部の地価が住宅地、商業地ともに「頭打ち」の様相をみせ始めている。地価上昇を支えてきた海外から流れ込む不動産投資マネーが減り始めているからだ。米国に端を発した低所得者向け高金利型住宅ローン(サブプライムローン)問題が世界的に広がる中で、投資家の意欲がさらに冷え込む可能性も指摘されている。路線価などの統計ではなお上昇基調にある都心の地価だが、変調ぶりに不動産業界などの関心が高まっている。
(中略)
一方、商業地でも同様の傾向が出ている。港区内に事務所を構える不動産鑑定士によると、「昨年から港区や中央区、千代田区など、都内一等地の商業地の地価は頭打ちになっている」と指摘する。その背景について、この鑑定士は「REIT(不動産投資信託)の配当利回りが落ちたことなどで魅力が薄れ、海外などから流れ込む投資マネーが細り始めているからだ」と分析する。
REITは、投資家から集めた資金をオフィスビルなどの不動産で運用し、賃貸収益や売却益を配当金として投資家に分配する投資商品。東京証券取引所が発表しているREIT販売状況によると、平成17年5月から外国人による買い越しが続いてきたが、今年6月は約375億円、7月には約203億円の売り越しに転じている。

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根本的なところから考えてみよう。
先ず不動産に資産保全能力があるのは確かだ「証券等の”紙”じゃない」ので、基本的な土地の生産性に関わる価値はある意味国がひっくり返らない限り普遍と言える。
最近ここで混同されている意味合いはその保全能力が”市場価値を反映する”と言う部分で、ここも本気でそう思っているというよりその実は「そう信じたい」的側面なのだろう。

新築分譲住宅ローン等がやっかいななのはその投資額が莫大であるところで、『長期保有の安定銘柄の株に対して1000万の借り入れをして投資』なんて事をおおよそ考えもしないタイプの世帯(頭金の預金額等から逆算すると)が平然と数千万の借り入れをして”外から見れば明らかに投資活動と同じ”経済活動のプレーヤーに参加してしまう心理的ビヘイビアの問題で、
本来ならローンを組んで購入した場合「勝負は始まったばかり」の筈なのに、何故か”それは嬉しい話だ”とか”自慢のマイホームです”のように既に勝負が決したかのような”浮いた話”があたかもメディア含めた共同幻想として蔓延しているとろにある。

本当に”暮らし倒す”前提があり、その後の資産価値も”高かったら儲けものぐらいな”感覚で語られるのは余裕で分譲を買う資金力が豊富な人達なんかの間では極当たり前で(そういった掲示板なんかを読んでいると正直『お金はあるんだよね』な雰囲気にちょっと不快になるぐらい)、流通価格がそのまんま資産価値を反映するって思い込みはどこにも無い。
そして「売らなきゃいいだろう」というのにも無理がある、
伝統的な土地の相続に見られるように”家徳を継ぐ”的に長男が事業を含めて先祖の土地財産を継承するって世界と、所謂東京における新築分譲マンションには相当以上の開きがあるし、相続時はかなりの確立で売却し現金化という流れを考える方が自然だったりする。つまりいつかは「売る」ワケだ。
ここで逆ざやが残るようなら、明らかに自分の子供に借金を付けましているのと同じなんだし、マイホームとして購入する場合にもその資産リスクは考えておくべき事で、多額の住宅ローンを前提とした購入は『長期保有の安定銘柄の株に対して1000万の借り入れをして投資』と大きな違いは無い。

これを前提に”実需”というものと”市場”を経済学的に見てみよう。

経済学の一般論では『市場=重要と供給のバランス』となるんだけれども、これはアメリカの膨大な赤字財政体質ドル余りなのにドルが暴落せず(ある意味アメリカのスーパーパワーは本気で国益)余ったマネーが世界の市場に流れている根本的なバブル(偽札とは言わないが本来ドルには本質的価値は無い)の現況ともなっている。
つまり世界経済のファンダメンタルを超えて”ドルが余っている”んであって、
結果としてこの投資資金は信用貸しを梃子の原理として莫大な資金に膨れ上がり世界市場を幻想のように今日形成している。
この所謂通称:ファンドと呼ばれる存在に小さな穴があいた。
アメリカのサブプライムローンの破綻だ、
サブプライムローンとは、金融情報として必ずしも優良評価ではない世帯(多重債務やクレジットの延滞等)にも貸しますよって、一種の高利貸しのシステムで、しかもこのローンを貸し出ししている金融機関はリスクヘッジのためにその債券を証券化し金融商品としてこれをファンドが購入している。
そもそもなんでこんな高利の住宅ローンを借りる人がいるのか?というと、米国の場合とにかくローン慣れしている文化があって、当初2〜3年までの返済額の少ない時期に『固定金利の低利ローンに借り替え』を前提としているからで、この借り換えの根拠が”購入住宅の値上がりによる余剰資産”となっていた。つまり購入した住宅の市場価値が値上がりしないと容易に破綻する事は誰にもわかっていた、
※しか米国の場合、この資産の余剰分(当初のローンは住宅価格5000万→値上がりの結果6000万のローンに借り替え)が『消費のために使われている』(さっきの話だと増えた1000万が格安消費者金融の融資扱いで”消費に使われる”)というドエライ商品で、
※実はこれを模した貸し込み金融商品が日本でも静かに始まっている
そもそものサブプライムローンは変動金利性であり、昨今FRB(米連邦準備制度理事会)が実施した利上げによってローン金利も上昇し、ローンの借り換えが急務となっているんだけれど、このミニバブルの破綻の結果(借り換えができなくて住宅を差し押さえが続出→売買価格の暴落)、証券化されたサブプライムローンに投資していたファンドにも大きな”負け”が発生した。

現在このサブプライムローンの破綻にブッシュ政権は、連邦住宅局の保証枠を拡大してローンの借り換えができるような救済策を始めるらしい、
これってつまり日本の国が補償して金融救済するのと同じ。しかもその米国政府そのものが巨額の赤字財政を抱えているんだし、、
(ローン借り換えの救済をしたとしてもキャピタルゲイン同様に売却目的で購入されているリゾート物件が値下がりで破綻するのは間違い無い)
ともかく慌てたファンドは”負け”を取り返すために市場が安定している海外で”利食い”の売却を始め一時的な資金の回収に走っている。

長くなりましたが(笑

これが日本の不動産市場から海外資金が流出している原因。
つまり実需で言えば『空家率12.2%』なのに住宅や土地の値上がりがあったのは、それを超えるマネーサプライの誘導があったためで、「余剰資金の買い支え」によるカラ需要が補完しているという状況に違いは無い。
つまり、既に不動産市場は”流通価格”を意味していて、本来の不動産価値の取引とは需要と供給って側面を反映していないワケだ。
その”流通”って何かと言うと、
まさか全ての不動産が売りに出ているのじゃないのだから、「ほんの一部の売却流通物件にいくらの値段がついているのか?」で”決まる”んだと、そういう事になる。
そして、昨今専ら流通しているのは銀行が住宅ローンつけますよと「あたかもその価格を保証している」新築分譲が中心になっている。一見まともな取引に見えているようだけれど、その価格を買い支えているのは住宅ローンで利益を上げたい金融サイドの思惑があるのであって(この辺はretourで随分書いた)、結果的に本来中心となるべき中古マンションが「損切りになるので流通しない=売却価格が安すぎる」→流通しない形になっていて、余計に「マネーフローの裏打ちのある新築分譲中心に市場が形成されている」結果となっている。
ノンリコースローンじゃないので、貸し付けしている金融サイドの不良債権リスクも少ない(これも貸し付けた先が破綻すれば別だけど)。

既に現在の状況でも市場は歪んでいる。

てことはー
『海外資金急減』のニュースは一大事なワケだ、
そもそも『空家率12.2%』を背景に肝心要の「REIT(不動産投資信託)の配当利回り」がアテにならない事は想定の範囲内だし、マネーゲーム的にこれを資金的に支えていた開発資金(外資)が資金回収に走りだしている。
かといって、賃貸含めての間取り改変的リノベ(世帯減らし)にはまだまだ時間がかかるので、部屋が余ったとしてもこれを容易に需要に合わせて変化させるのは不動産だけに難しい(各室12%広くするなんて芸当はできないんだし)。そもそも流通含めて(分譲はこれまた流通が不透明、ここもretourで書いたとおり)売買市場の健全化が計られないと不安定要因を置き去りに無責任なキャッチコピーばかりがまかり通る事になる。
※逆さまに言えば非日常的新築分譲圧力の結果、極端に選択肢は少ないけれど現在の中古マンション市場が買い気配であるのは事実、

この辺全体のバックグラウンドに、日本の金融がやたらと不動産担保を条件に貸付するって伝統的な偏向(賃貸の場合の審査がやたらと保証人に偏るのも若干同様の傾向がある)が関係しているので、不動産業界だけでできる部分は”公正な流通(業界への情報公開義務)”と、広報って部分になってくる。
それもあって、「今書いていますっ」なところなのだけれど、とにかく大量の”金”が流れている新築分譲の世界にはその広告費を含めてメディアの側も歪みがちなので、一般消費者にはメディアリテラシーの視点も重要になる。確かに小泉改革以来叫ばれ始めた自己責任って原則論から見ても、ポータルサイト含めての広告媒体やメディアってものを見る場合には”とにかく冷静に十分考えて”判断して欲しい。

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