プロフィール

フォトアルバム

岩原.kagewari.充尚


『住まいの心理学』は引越ししました
 ↓
新『住まいの心理学
http://kagewari-retour.seesaa.net/
トラックバック・コメント等は受付を停止(承認作業は行われません)、告知期間の後に当該ブログは削除の予定です。
(2010/08/14)

2010年8月

1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        
  

アーカイブ

    
  

サイト内検索



  • wwwSerch Site

RSSリンク

最近のトラックバック

WARNER

北海道事務所移転は有りか無しか的特集プロローグ

前に分譲と都市計画関係の話をした時に「地方の惨状」に触れた事があるんだけれど、現実のDATAを元に現在進行形の地域社会崩壊のプロセスを北海道を例に具体的に考えてみよう。
実際旧来から北海道経済・人口の札幌集中は明白だったのだけれど、現在これに拍車がかかり周辺の都市の中には人口の減少に歯止めが利かず公共交通の廃線すら含む”切り捨て”とも言える状況が進行している。
より近郊の都市で通勤圏として人口目減りの無い地域では商店街として機能していた旧市街が空洞化し「人口の目減りが無いのに駅前商店街が壊滅」という形となり、それぞれ問題は深刻化している。
原因のひとつには「幹線道路の整備に北海道は特に敏感だったから」。
元来北海道の場合農業を営む地域と市街地が連続している環境にあったので(高速道路並みの農道なんてのもある)、北海道の人が考える”郊外の住居”はアメリカ並みの遠方でもアリアリで地方には「駅から徒歩何分」という概念すら希薄なファンダメンタルが元々あった。
低所得階層であっても車で移動する事を生活の基本としているし昨今車そのものが高価な耐久消費財ではない事実を背景に、宅地開発は安ければ安いほどいいと「より遠くへ、より遠くへ」と拡大した。
土地そのものが安かった事もあって「一区画が大きすぎ」とか「一区画内の世帯数が極端に少ない(スカスカ)」な分散型な発展をしているので、その”遠心力”は凄まじいものがある。

そしてそもそもこの「超郊外=低所得」という構造はチェーン店型大規模店舗量販店と無料駐車場の組み合わせを構造的に優位としてしまうため、公共事業により幹線道路の整備が進むほど商業圏そのものが拡散して大規模化し(となりの店にいくにも車移動だの勢い)、結果として旧市街への客足は急速に衰えた。
これに耐え切れない競合自営業商店の閉店を始まりに、商店街そのものの”トータルで百貨店”な機能性が失われこれを引き金に連鎖倒産ともいえるような流れで、量販店と競合関係にはない店舗も撤退を余儀なくされる。
果たして、この旧市街の土地が次から次とリリースされて大規模開発に繋がるかと言えばこれも難しい。何故なら地元経済に弱さを持つ北海道の場合、資産の相続対象者が東京や大阪で生活しているケースも多く、大規模開発のための土地の収用はとても難しく、スラム化していく旧市街に行政はまったく打つ手の無い状況になっている。

そこで行政は、社会システムの効率化という意味でも、なんとか旧市街に共同住宅(中堅マンション)や高齢化施設等による新たな商圏の確立と、テナントの誘致を計画する事になるんだけれども、今度はそれが成功すると別の意味でとんでも無い現象が起きてしまう。
今時資産デフレだ、
旧市街に人口を密集させようとする試みは、当然”超郊外住宅”の資産価値を暴落させるので、先行して郊外住宅の売却に成功して旧市街に引越した人はまだよくても、残された人は資産を売却しても借金が残りかねない危険性を生む事になり、俯瞰で見ると「所得の低い人ほど資産リスクの高い商品を買わされたのと同じ」になっているしそれは開発業者の本音だろう。
この爆弾は、現在ゆるやかに札幌・苫小牧を中心に成長中の北海道経済そのものの足を引っ張ってしまうだけでなく本来不良債権化しにくい住宅ローンが潜在的不良債権となるのだから金融機関だって無傷ではいられない。
つまり行政も安易に住居の市街地への集約化的都市計画を実行したくても事実上非常に難しい立場にあって(これも民間投資によって自然に発現する可能性高いんだけれど)できないのであって、完全に民間主導で都市のデザインがガタガタになり行政は都市計画そのものの主導権を既に失っている。

数字で見てみると、超郊外の中古一戸建ての利回りは15%並の数字(ジャンクボンド化)にまで高騰していてそもそもの資産価値が一体どこまで落ち込むのか予測も立たない状況で、一見投資目的な人には有力な投資向け物件に見えたとしても、資産リスクが高すぎておっかなくて手が出せないレベルであると言ってもいい。
それこそ建築当時2千万〜3千万したかしらって物件は中古住宅で売りにかかる時には(築年数にもよるんだけれども)700万にしかならならい状況で、当然その売り出し価格に対するレスポンスは”指値買い”が発生するだろうから「実際の取引価格は550万」なんて可能性もある。
おそらく郊外の大規模店舗なんかは採算性が悪化すれば速やかに撤退するだろうから、肝心要の居住環境すら激変するかもしれない。
それは北海道世帯の車依存をより高める事にもなる(次は超郊外から旧市街へ)、
そこに「ガソリンの高騰」だ、
移動距離は伸び、車を利用するコストは将来的には高まる傾向がある状況下で現在消費者の関心は「どうやってガソリン代を節約するのか」、
それも道内のガソリンスタンド業者が赤字経営に悩んでいる状況下の話である。

いっそのこと地下も上昇している札幌近郊や札幌そのものに分譲マンションでも購入する方が価格は高くてもよっぽど安心(あの分譲かちんたいかで論議になった分譲マンションでさえ)で、その悪循環はより促進され。。。
つまり資産的に見ても、やはり地方経済ほど所得格差が拡大しつつある傾向にある。

道路整備を発端に結果として拡散する住宅開発はインフラ整備を圧迫し、札幌ですら一部郊外の再開発地区は民間のマンション建築が先行し規格歩道の整備や電線の地下埋設が追いつかず、「なんか妙な景色になっちゃっている」地域もある。
行政コストだって結果的には税負担として帰ってくるのだし、
都市計画が政治として行われなければならない理由もそこにある。
そんな状況下で「ひとり発展を続ける札幌の素顔」にどこまで迫れるか、
なんせ画像が多いので、長期特集になりそうですっ

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

« 都市のデザイン | メイン | 『政治と住宅』 »

コメント

コメントを投稿

コメントは記事の投稿者が承認するまで表示されません。

トラックバック

このページのトラックバックURL:
http://app.blog.smatch.jp/t/trackback/451963/21066945

北海道事務所移転は有りか無しか的特集プロローグを参照しているブログ: