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ル・コルビュジエ『国立西洋美術館』:プロローグ

流浪の建築巡り”Teorema”、今回はここのとこ何かと名前が登場する(軍艦レポートといいビラ・モデルナといい)ル・コルビュジエ氏(1887〜1965)の作品をお伝えします。
コルビュジエと言えば建築関係の人でその名前を知らない人はいないでしょう
日本建築会の巨匠丹下健三氏や安藤忠雄氏すらコルビュジエの影響を受け建築家を志した人物で、ビラ・モデルナでも紹介したコルビュジエ三人の弟子として知られる「板倉準三、前川國男、吉阪隆正(この人が軍艦マンション設計の渡辺洋治氏の師匠)」が連なりと、現代の建築界では、ロイド・ライトやローエ、グロピウスと並ぶビッグショットです。

コルビュジエは画家としても知られ(ヨーロッパにおける評価は「やはり建築家」)、ピカソで有名なキュービズムにも似た抽象画ピュリズムの画家として知られる存在です。
このピュリズムのコンセプトを知ることが、彼の建築意匠のコアを知ることでもあると思うので若干ここを説明すると、キュービズムへの批判として(ピカソとは仲が良かったらしい)幾何学的な整合性のある多面体からの二次元絵画表現という調和的キュービズムとでも言うような画風で知られ、この調和的整合性の一面がその建築コンセプトにも現れていると言えます。


彼の言葉と言えば
「建築する事は秩序つけることである」
「住宅は住むための機械である」
なんかがありますが、そんなコンセプトの延長に”ユルバニムス”という都市計画の形で提唱し、現代の都市計画にも多大な影響を与えている。
そのデザインは『高層ビルに緑』という現代社会を予見したともいえるもので、そこには社会学的なゲマインシャフトからゲゼルシャフトへの変遷→共同幻想的古典デザインからの「建築の独立」という意味もあるでしょう。しかしそうなると都市や建築なるものが”無秩序化”しかねないため画家としての彼の一面”ピュリズム”的合理性を共同幻想的古典のオルタナとしたと見る事もできます。
ドミノシステム:「建築の主要要素は「床」「柱」「階段」のみだ」と、
レンガ積みの壁式建築から鉄筋コンクリートの自由な合理性を建築として確立。
これだけではありません

『近代建築の5原則』をピロティ(柱だけで構成されている1F空間)、屋上庭園、自由な平面、水平連続窓、自由なファサード(正面:顔)であると定義。
この中で自由なファサードって奴が一番わかりにくいかと思うんですが、簡単に言えば荘厳であったりやたらと押し出しの強い顔ではなく、周辺の自然と溶け込むようなシンプルな(淡白な)合理性を意図していると考えればいいでしょうか。
ここの解釈は「合理的である=伝統様式から離れた自由な造形」という事で、ここの延長に安藤忠雄氏の打ちっぱなしが在るのだとも言えるでしょう。

私が一番興味をひかれるのは『モデュロール:黄金分割』です、
これ一部には失敗とも言われているコンセプトなんですが、狙いは非常によくわかります。
これって「そこに暮らす人の身長に合わせて最適な住居の縦横比率がある」として計算式まであったようなんですが(実際このモデュロールで設計された部屋は「狭くて圧迫感があった」と言われています)、これ実際部屋の内見時に違った意味で感じた事があるからです。
「確かに縦横床面積的黄金比率は在る」って感覚です、
特にRCの場合構造上の柱にあたる下り天井部分の”入り方”や、単純化すれば玄関から見たメインフロアの縦横比、1KタイプのKにあたる廊下的スペースの広さ等突飛な造形デザインなんかではなくて、その基本設計が室内のイメージに支配的な影響力を持つ事です。螺旋がどうこう以前に天井高とバルコニー方向に対する室内横幅比等、これが絶妙だと「何が何とは説明できないんですが空間性の良し悪しに決定的な差が生まれる」って感覚を実感していて、果たしてこの体感が視線高である身長とどれだけ関わっているのかまでは証明できないんですが、これはありますよ間違い無く。
建築界で、現在それがどこまでパラメータ化されているのかわかりませんが、実際多数の部屋を内見している経験からすると「かなりの確率で”偶然”」な感じなんですよね〜
これって、もっと追求されるべきテーマだと思います。

さて、そんなコルビュジエ氏設計による建築がこの日本、
東京にあります『国立西洋美術館』です、
(前川國男・坂倉準三・吉阪隆正が協力し、新館は前川國男氏による)


<つづく>

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